【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―ドライブレコーダ 編―

2026年3月26日

吾輩は猫である ―ドライブレコーダ 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

車の前に、
小さな目が付いた。
黒く、
黙って、
ただ前を見ている。

人間はこれを、
ドライブレコーダと呼ぶ。

走るたびに、
すべてを記録する。
良いことも、
そうでないことも、
等しく残す。

忘れぬための装置だ。

人は、
記憶に頼る。
だが記憶は、
都合よく変わる。
少し丸くなり、
少し角が取れる。

機械は違う。
そのままを残す。
解釈も、
感情も、
持たぬ。

吾輩は思う。
記録とは、
正しさのためだけではない。
振り返るためにあるのだと。

急いだ瞬間、
迷った交差点、
ためらった一秒。
それらは、
後から意味を持つ。

常に見られていると、
人は少し丁寧になる。
運転も、
言葉も、
振る舞いも。

見られていなくても、
同じであれば、
それが一番良い。

吾輩は猫である。
記録はせぬ。
だが、
見ている。
静かに、
ただ見ている。
行いとは、
記録の有無ではなく、
積み重ねそのものなのだ。


記録より
日々の運転
まっすぐに


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gonta

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