吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 吾輩は江田島平八郎である 編―

2025年10月23日

吾輩は猫である ― 吾輩は江田島平八郎である 編―

吾輩は猫である。名は――江田島平八郎である。

この家の者は皆、吾輩をただの猫と思っているようだが、
それは大いなる誤解である。
吾輩はこの家の秩序を守る総司令官、
すなわち“猫艦隊”の提督なのである。

朝は点呼から始まる。
飼い主が寝坊しても、吾輩は遠慮なく顔の上に乗り、
「起床ラッパ」を発令する。
食事の時間を過ぎた場合は、
規律違反として足にすり寄り強制執行だ。

日中の巡回では、
廊下を往復し、異常がないかを確認。
郵便配達員が来れば即座に警戒態勢、
冷蔵庫が開けば戦略的突入を試みる。

夕刻になると、飼い主がテレビをつけ、
軍艦のドキュメンタリーなどを眺めている。
吾輩はその前に座り、画面に映る艦影をじっと見つめる。
「ふむ、統率とは静けさに宿るものだな」
ひげを震わせながら、静かにそう呟いた。

だが夜になると、提督もただの猫に戻る。
柔らかな毛布の上で丸くなり、
夢の中で再び航海に出るのだ。

吾輩は江田島平八郎である。
名は堂々としており、使命は明確。
この家を守り、平和を維持すること――
それが吾輩の軍令である。

寝床にも 統率ありて 春の夢


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gonta

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