吾輩は猫である。
名前はまだない。
海は、
穏やかに見える日ほど、
油断を誘う。
波は低く、
風も弱い。
だが、
その静けさの中に、
危うさは潜む。
船は、
急に大きく崩れるのではない。
少しの傾き、
少しの偏り、
それが積み重なる。
荷の置き方、
人の移動、
重心のズレ。
それらが重なり、
ある一点を越える。
そこから先は、
速い。
だからこそ、
事前に防ぐ。
荷は均等に。
急な移動は避ける。
波の方向を読む。
ライフジャケットを着る。
違和感を感じたら、
すぐに戻す。
吾輩は思う。
安全とは、
特別な行動ではないと。
当たり前を、
確実に続けること。
それが、
最も強い対策である。
人は、
大きな事故を恐れる。
だが、
本当に怖いのは、
小さな異変を見逃すことだ。
海は変わらぬ。
変わるのは、
乗る側の意識である。
吾輩は猫である。
船には乗らぬ。
だが、
傾きを感じたら、
すぐに体勢を変える。
それだけで、
多くは防げると知っている。
小さき差
気づけば防げる
海の上