【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―船を眺める 編―

2026年3月30日

吾輩は猫である ―船を眺める 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

海は、
穏やかに見える日ほど、
油断を誘う。
波は低く、
風も弱い。

だが、
その静けさの中に、
危うさは潜む。

船は、
急に大きく崩れるのではない。
少しの傾き、
少しの偏り、
それが積み重なる。

荷の置き方、
人の移動、
重心のズレ。
それらが重なり、
ある一点を越える。

そこから先は、
速い。

だからこそ、
事前に防ぐ。

荷は均等に。
急な移動は避ける。
波の方向を読む。
ライフジャケットを着る。
違和感を感じたら、
すぐに戻す。

吾輩は思う。
安全とは、
特別な行動ではないと。

当たり前を、
確実に続けること。
それが、
最も強い対策である。

人は、
大きな事故を恐れる。
だが、
本当に怖いのは、
小さな異変を見逃すことだ。

海は変わらぬ。
変わるのは、
乗る側の意識である。

吾輩は猫である。
船には乗らぬ。
だが、
傾きを感じたら、
すぐに体勢を変える。
それだけで、
多くは防げると知っている。


小さき差
気づけば防げる
海の上


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gonta

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