吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 猫のサロン(カットと染)編 ―

2025年8月31日

吾輩は猫である ― 猫のサロン(カットと染)編 ―

吾輩、信虎である。
今日は年に一度の毛並みリフレッシュの日。
飼い主が予約してくれたのは、猫専用グルーミングサロン。
シザー音が響く、まるで人間の美容室のような場所だ。

「わぁ、いい匂い!」と葵は早くも鏡の前に座る。
淡い毛色をさらに春色に染めるらしい。
「私はラベンダーグラデーションに挑戦するの」と、
尻尾をふわりと揺らしている。

獅子丸はというと、
「オレはライオンカットだ!」と胸を張る。
首周りだけたてがみのように残し、
背中から尻尾にかけてスッキリ短く――
仕上がりはまるで動物園から来た王様だ。

沙羅は静かにシートに座り、
「私は毛先だけ艶出しで十分」と職人のような一言。
長毛の艶がライトに反射して、
すでにモデル猫の風格を放っている。

そして吾輩は、全体を軽く整えて、
年齢より若く見えるよう毛色を少し明るく染めた。
鏡の中の自分は、どこか精悍になった気がする。

サロンを出ると、4匹の毛並みが春風に揺れる。
道行く人間が「まあ、なんておしゃれな猫たち!」と足を止めた。
獅子丸は得意げに歩き、葵は花びらをまとい、
沙羅は涼しい顔で先を行く。
吾輩はしっぽを高く掲げ、群れの先頭に立った。

吾輩は信虎である。
毛並みが変われば、気持ちも変わる。
今日からまた、新しい猫生が始まる気がする。


スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

gonta

-吾輩は猫である(現代編)