【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―語られる側 編―

2026年4月13日

吾輩は猫である ―語られる側 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

人は、
語る。
出来事を、
他人を、
そして時に、
自分を。

だが、
語られる側に立つことは、
あまりない。

吾輩は思う。
語るより、
語られる方が難しいと。

語る者は、
選べる。
言葉を、
順序を、
強調する部分を。

だが、
語られる者は、
選べぬ。
どこを切り取られ、
どの角度で見られるかを。

同じ一日でも、
語る人が違えば、
まったく別の物語になる。

優しさは、
甘さに変わり、
慎重さは、
遅さと呼ばれる。
静けさは、
無関心と誤解される。

言葉は、
形を与える。
だが同時に、
削りもする。

吾輩は、
ただそこにいる。
何も足さず、
何も引かず。

それでも、
誰かの中では、
すでに物語になっている。

ならば、
せめて自分だけは、
自分を誤解せぬように。

吾輩は猫である。
語られることを避けぬ。
だが、
語られ方に囚われぬ。
本当の姿とは、
言葉の外にあるものだからだ。


語られて
残るものこそ
己なり


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gonta

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