【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―猫宝くじに当たる 編―

2026年1月6日

吾輩は猫である ―猫宝くじに当たる 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

ある朝、飼い主が新聞を広げたまま固まっていた。
目は一点を見つめ、
手は微かに震えている。
「……当たってる。」
どうやら宝くじが当選したらしい。

吾輩は理解した。
今日は、缶詰の音が違う日である。

飼い主は言った。
「一等じゃないけど、結構すごいよ。」
その声は静かだが、
胸の奥で何かが弾んでいるのが分かる。

その日、
吾輩の皿には見慣れぬ高級そうなフードが盛られ、
ベッドはふかふかに新調され、
爪とぎまで新品になった。
――世界が、少しだけやさしくなった。

だが飼い主は浮かれすぎなかった。
「全部使っちゃだめだよね。」
「備えも必要だし。」
そう言いながら、
吾輩の背中を撫でた。

吾輩は思う。
宝くじに当たるとは、
突然ぜいたくになることではない。
心に余白ができることなのだ。

夜、飼い主はいつも通りの場所に座り、
吾輩を膝に乗せた。
景色は変わらない。
家も、匂いも、時間の流れも。
だが、
不安がひとつ、そっと消えていた。

吾輩は猫である。名はまだない。
だが知っている。
本当の当たりは、
こうして今日も一緒にいられることだ。

当選も 膝のぬくもり 超えられず


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gonta

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