吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ―特別徴収と普通徴収 編 ―

2025年7月26日

吾輩は猫である ―特別徴収と普通徴収 編 ―

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの家の家計事情には、詳しいつもりだ。

ある朝、飼い主が給与明細を見ながら眉をしかめていた。
「うーん…住民税、今年から特別徴収かぁ…」
ふむ、それはつまり、給料から勝手に天引きされる方式である。

「自分で払ってる感じがしないのが嫌なんだよね」
そう言ってため息をつく飼い主に、
吾輩はカリカリを食べながら思った。

――払ってる実感がないなら、猫のごはん代も天引きで良いのでは?

だが人間界は、そう単純ではないらしい。

「去年はフリーランスだったから普通徴収だったけど…
 今は会社員だから、勝手に持ってかれる…」
どうやら“自由”と“便利”は、いつも引き換えのようだ。

普通徴収 痛みで知る 税の意味
特別徴収 静かに抜かれる 猫の耳

どちらも納税には変わらぬが、
人間はその“見せ方”や“気づき方”にこだわる。

「猫はいいなぁ、税金ないもんね〜」と飼い主。
ふん、何も分かっていない。
吾輩だって、毎朝“自動で起こされ税”を徴収され、
“日中の膝貸し税”を強制的に納めている。

どちらが重いかは、…まあ猫の誇りとして黙っておこう。

今夜も飼い主は言う。
「どうせ払うなら、もっと透明にしてほしいよね」
――その気持ち、分からなくもない。

ただし吾輩は、カリカリさえ透明の容器に入っていれば満足である。


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gonta

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