吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― スーパーマンは移民 編 ―

2025年8月10日

吾輩は猫である ― スーパーマンは移民 編 ―

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこのところ、ヒーローものの映画ばかり見せられている。

特に飼い主が好きなのは、スーパーマン。
「やっぱ正統派って感じで、いいよね〜」
空を飛び、ビルを持ち上げ、正義を貫く男。

だが、ふと気づいた。
――彼は、地球生まれではない。

故郷を失い、宇宙から飛来し、
地球に預けられた小さな命。
彼は“地球人のふり”をして暮らしている。

ふむ。
それって、猫にとっての“人間社会”と、
どこか似ているではないか。

居場所なく 居場所となりぬ 他所の地で

我々猫も、本来は野を歩く存在。
だが今は、家具とWi-Fiに囲まれた世界で生きている。
「うちの子なのよ〜」と笑顔で語られるたびに、
本当の“出自”は薄れてゆく。

スーパーマンは力を持ちながら、
社会の中ではネクタイを締めて控えめに生きている。
それはきっと、“異質である自分”を
馴染ませるためのささやかな仮面だ。

猫も、時にそうである。
甘えるフリ、膝に乗る演出、
スリスリという外交辞令。

でも心のどこかに、
「本当の自分は、ここに属しているのか?」という
小さな違和感が残る。

飼い主は言う。
「スーパーマンって完璧だけど、ちょっと孤独だよね」

――吾輩も、そう思う。
力がある者が強いのではない。
受け入れられて、初めてヒーローになれるのだ。


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gonta

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