吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ―ジャングリア どうなる? 編―

2025年8月12日

吾輩は猫である ―ジャングリア どうなる? 編―

吾輩は猫である。名はまだない。
だが今、沖縄の森の端っこにて、
耳を澄ませている。
その名も「ジャングリア」――
新しいテーマパークの鼓動が聞こえるからだ。

最初は観光バスの列に驚いた。
次に、上空をゆっくりと漂う気球の影に目を細めた。
「動物と自然とテクノロジーの融合」だと人間は言う。
なるほど、アバターもいればカピバラもいる。
冷房完備の檻と、スマホを構える人々。

だが、森に住む我ら猫族としては、
少しばかり気がかりな点もある。

“にぎわい”と“かき乱し”は、紙一重。

飼い主の祖母が言っていた。
「昔は、このあたり一帯、蛍が飛んでたよ」
それを聞いた吾輩は、
一匹の野良猫として、空を見上げる。

人間たちは「経済効果○○億円」と騒ぐ。
地元に雇用が生まれ、ホテルが建ち、空港が拡張される。
けれど、その足元には、
かつて静かに寝転んでいた草むらがあるのだ。

動物たちはどうだろう?
楽園の顔をしたその施設で、
「見られる」ために存在する命は、
果たして幸せなのか。

吾輩は断言しない。
ただ問いを持ち続ける。

“自然を売り物にした時、
それはまだ“自然”と呼べるのか?”

今日も観光客の笑い声が、風に乗って森に届く。
吾輩はそっと草をかき分けて、
その「未来の匂い」を確かめてみることにした。


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gonta

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