吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 令和七年の夏 編―

2025年9月28日

吾輩は猫である ― 令和七年の夏 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

今年の夏は例年にも増して暑い。
人間のニュースでは「観測史上最高」だの「猛暑日続き」だのと叫んでいる。
路地裏のアスファルトは灼けるようで、
肉球に触れるとじりりと音がしそうだ。

飼い主は扇風機とエアコンを駆使し、
「節電」と「熱中症対策」の板挟みに悩んでいる。
冷房の効いた部屋で寝転ぶ吾輩を横目に、
電気代の明細を見てため息をつく姿が哀れでならぬ。

それでも夏には夏の楽しみがある。
縁側から聞こえる蝉しぐれ、
夜空に咲く花火の轟き、
そして冷やしスイカを頬張る人間の笑顔。
吾輩はただ、その足元で丸くなり、
一緒に季節を味わっている。

今年は各地で祭りやイベントが復活し、
町は久しぶりに賑わいを取り戻した。
人々の声に混じって、
吾輩の心臓もどこか弾んでいる。
暑さの中にも、確かに希望の風が吹いているのだ。

吾輩は猫である。名はまだない。
だがこの夏を共に越えたことを、
きっと後に振り返り「生き抜いた夏」と呼ぶだろう。

灼ける夏 人と猫とも 影を追う


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gonta

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