【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―技術士口頭試験 不合格 編―

2026年3月17日

吾輩は猫である ―技術士口頭試験 不合格 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

春の終わりに、
一つの結果が届く。
紙の上には、
短い評価。

人間はこれを、
技術士口頭試験の結果と呼ぶ。

合格という二文字は、
遠くない場所にある。
番号も、
ほんの少し違うだけだ。

隣の列には、
同じ数字が並ぶ。
1602E0029。
その人は、
合格した。

吾輩は思う。
たった一文字が、
重い。

EとM。
それだけの違いで、
春の色が少し変わる。

机の上には、
筆記試験の記憶。
書いた時間、
積み重ねた経験、
考えた答え。

それらは、
消えない。

だが、
評価には丸と印が並ぶ。
コミュニケーション。
リーダーシップ。
技術者倫理。
継続研鑽。

技術の試験でありながら、
問われたのは
人としての姿勢だった。

悔しさは、
静かだ。

怒りではない。
諦めでもない。
ただ、
自分の背中を
もう一度見つめる時間。

技術士とは、
知識の頂ではない。
社会の中で、
どう立つかという
姿勢の名だ。

ならば、
今日の不合格は、
否定ではない。

問いが、
残っただけだ。

吾輩は猫である。
結果には驚かぬ。
だが、
続ける者の背中は知っている。
技術士とは、
合格の瞬間よりも、
その後の歩き方で決まる。


あと一歩
春の風だけ
先に行く


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gonta

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