吾輩は猫である。
名前はまだない。
同じ部屋に、
三つの気配がある。
それぞれが、
それぞれの場所にいる。
人間はこれを、
三者三様と呼ぶ。
一匹は、
窓辺に座る。
光を受け、
動かぬ。
一匹は、
部屋を巡る。
音を拾い、
常に変わる。
もう一匹は、
少し離れて見る。
近づきすぎず、
遠すぎず。
どれも、
間違いではない。
同じ時間、
同じ空間。
だが、
選ぶ行動は違う。
人間は、
一つに揃えたがる。
正解を求め、
同じ形を望む。
だが、
本来は違う。
役割も、
性質も、
見方も、
異なるからこそ、
全体が成り立つ。
無理に合わせれば、
どこかに歪みが出る。
自然に任せれば、
全体は整う。
吾輩は思う。
違いとは、
不揃いではなく、
補いであると。
吾輩は猫である。
一つにはならぬ。
だが、
共に在ることはできる。
三者三様とは、
違いを保ったまま
調和する形なのだ。
違うまま
並べばそれで
整いぬ