【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―バームクーヘン 編―

2026年4月2日

吾輩は猫である ―バームクーヘン 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

机の上に、
丸いものが置かれた。
切られると、
中に幾重もの層が現れる。

人間はこれを、
バームクーヘンと呼ぶ。

年輪のようだと、
人間は言う。
時間が、
甘く重なっているらしい。

一層一層は、
薄い。
それだけでは、
特別なものではない。

だが、
重なれば、
形になる。

吾輩は思う。
日々も同じだと。

一日では、
変わらぬ。
一回では、
差は出ぬ。
だが、
積み重ねれば、
やがて輪になる。

人間は、
急ぎたがる。
厚く、
早く、
一気に形を作ろうとする。

だが、
焼きすぎれば焦げ、
急げば崩れる。

適度な火、
適度な時間。
それを守ることが、
美しさにつながる。

切り分けると、
どこを見ても同じ層。
均一とは、
誤差を積み上げなかった証だ。

吾輩は猫である。
甘いものは食べぬ。
だが、
重ねる価値は知っている。
人生とは、
見えぬ層を
静かに焼き続けることなのだ。


重ねれば
甘さも形に
なりにけり


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gonta

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