吾輩は猫である。
名前はまだない。
近づく。
だが、
触れぬ。
離れる。
だが、
遠すぎぬ。
人間はこれを、
距離感と呼ぶ。
猫は、
急に寄らぬ。
急に離れぬ。
相手の気配を見て、
一歩を決める。
近すぎれば、
緊張が生まれる。
遠すぎれば、
関係は消える。
ちょうどよい位置は、
常に動く。
時間で変わり、
状況で変わり、
相手で変わる。
固定はできぬ。
吾輩は思う。
距離とは、
測るものではなく、
調整するものだと。
一度決めたら終わりではない。
毎回、
少しずつ合わせる。
だから、
疲れぬ。
人間は、
詰めすぎる。
または、
離れすぎる。
どちらも、
関係を崩す。
猫は、
その間にいる。
必要なときだけ寄り、
そうでなければ離れる。
それで、
長く続く。
吾輩は猫である。
群れは作らぬ。
だが、
関係は持つ。
距離感とは、
相手を尊重する形なのだ。
寄りすぎず
離れすぎずの
道ひとつ