吾輩は猫である。
名前はまだない。
何かが伸びると、
何かが薄れる。
すべてを同時に、
保つことはできぬ。
人間はこれを、
進化と退化と呼ぶ。
速くなる。
だが、
考えなくなる。
便利になる。
だが、
手間を忘れる。
新しいものは、
古いものを置き換える。
それは、
前に進むことでもあり、
後ろを手放すことでもある。
吾輩は思う。
進化とは、
純粋な加算ではないと。
選択である。
何を残し、
何を捨てるか。
その積み重ねが、
形を作る。
猫は、
無駄を削る。
動きも、
力も、
最小にする。
だが、
それは
退化ではない。
必要なものを、
研ぎ澄ました結果である。
人間は、
増やすことで
安心する。
だが、
増えすぎれば、
扱えなくなる。
減らすことも、
また技である。
吾輩は猫である。
進まぬようで、
変わっている。
進化と退化とは、
対立ではなく、
同じ線の両側なのだ。
伸びるほど
削りて残る
真の形