吾輩は猫である。
名前はまだない。
前方に、
細い門が並んでいる。
緑の光、
赤い表示、
そして、
少しの緊張。
人間はこれを、
ETCと呼ぶ。
止まらずに通れる。
それが、
便利らしい。
だが、
初めての時は違う。
本当に開くのか。
反応しなかったらどうする。
速度は大丈夫か。
考えるほど、
少し怖い。
吾輩は思う。
新しい仕組みとは、
便利さより先に、
不安が来るものだと。
慣れた者には、
当たり前。
だが、
初めての者には、
小さな挑戦である。
ゆっくり近づく。
表示を見る。
音を聞く。
そして、
静かに通る。
抜けた瞬間、
少しだけ肩の力が抜ける。
人間は、
経験を積むたび、
怖さを忘れる。
だが、
最初の慎重さは、
悪いものではない。
確認し、
備え、
無理をしない。
それが、
安全につながる。
吾輩は猫である。
高速は走らぬ。
だが、
初めて通る門の緊張は知っている。
慣れとは、
無理に飛び込むことではなく、
一度無事に通り抜けることから始まるのだ。
初めての
門を抜ければ
風変わる