【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―山の日 編―

2026年8月11日

吾輩は猫である ―山の日 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

山は、
静かである。

風の音。

鳥の声。

木々が揺れる音だけが、
ゆっくりと時を刻む。

人間は、
この日を山の日と呼ぶ。

山に親しみ、
その恵みに感謝する日。

だが、
山にはもう一つの記憶がある。

忘れてはならない、
深い悲しみの記憶である。

ある夏の日。

多くの人が、
家族のもとへ帰る途中だった。

楽しみにしていた再会。

約束していた「またね」。

その願いは、
山へ消えた。

吾輩は思う。

時は、
悲しみを消してはくれない。

それでも、
人は生きていく。

残された人は、
大切な人を想いながら、
今日も前を向く。

山は、
何も語らない。

だが、
静かにその記憶を抱き続けている。

だからこそ、
吾輩たちは忘れてはならない。

命の重さを。

帰る場所があることの幸せを。

「また会おう」と言えることの尊さを。

吾輩は猫である。
山を見上げるたび、
そこに刻まれた幾つもの記憶に思いを馳せる。
山の日とは、
自然の恵みに感謝する日であるとともに、
二度と繰り返してはならない悲しみを胸に刻み、
命の尊さを静かに見つめる日でもあるのだ。


山静か
語らぬ記憶
風が継ぐ

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gonta

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