吾輩は猫である。
名前はまだない。
雨は、
静かに降る。
最初は、
屋根を叩く音も心地よい。
だが、
降り続けば話は変わる。
川が増え、
道路が沈み、
土が崩れる。
人間はこれを、
雨被害と呼ぶ。
吾輩は思う。
怖いのは、
雨そのものではない。
「まだ大丈夫」と、
動かないことである。
水は、
一気に増えることがある。
昨日まで通れた道が、
今日は通れぬこともある。
だから、
早めに見る。
天気を見る。
川を見る。
避難場所を確かめる。
そして、
猫のことも忘れない。
キャリー。
餌。
水。
薬。
トイレ用品。
人間だけ逃げればよい、
というわけではない。
猫は、
急な環境変化が苦手である。
大きな音。
知らない場所。
知らない人。
それだけでも、
十分に怖い。
だからこそ、
普段から備えておく。
キャリーに慣れる。
必要な物をまとめる。
逃げ道を決める。
備えとは、
怖がることではない。
慌てないための準備である。
吾輩は猫である。
雨は嫌いではない。
だが、
命に関わる雨なら話は別だ。
雨被害とは、
降ってから考えるものではない。
まだ静かなうちに、
「もしも」を考えておくものなのだ。
雨の前
備えひとつが
命綱