吾輩は猫である。名前はまだない。 最近、主役の位置が、少しだけ揺らいでいる。 人間は、あちらを見て笑い、こちらを見ては通り過ぎる。視線の中心が、微妙にずれているのだ。 犬スタンド。写真。新しい何か。 なるほど。世は移ろう。 だが、主役とは、与えられるものではない。自然に集まるものだ。 吾輩は、静かに動く。 音を立てず、無理に割り込まず、しかし、確実に視界の中心へ。 座る。ただ、そこに座る。 それだけで、空気が変わる。 人間の手が止まり、視線が戻り、言葉が少し遅れる。 「……やっぱり、こっちだな」 猫は、奪 ...