吾輩は猫である。名はまだない。この頃、ご主人がやたらとカリカリを買い渋る。理由を問えば、「関税が上がってるからな」と鼻を鳴らす。何のことやら、さっぱりである。 しかしある日、吾輩はこっそりテレビという魔法の箱を覗き見た。画面の中で、人間たちが「輸入が高くなった」「うちの工場が困る」と吠え合っている。どうやら、国という大きな猫たちが「うちのモノが一番だ!」と睨み合い、互いの餌皿を引っ掻いているらしい。 なるほど、これは“にゃわばり争い”である。吾輩もかつて隣の三毛と魚の頭をめぐって小競り合いをしたものだ。だ ...