吾輩は猫である。名前はまだない。 四年に一度。世界中が、一つの球を追いかける。 人間はこれを、サッカーWカップと呼ぶ。 普段は、敵同士の者もいる。だが、この時だけは、同じ色をまとい、同じ声を上げる。 一点で歓喜し、一点で沈黙する。 九十分が、妙に短い。 吾輩は思う。熱狂とは、理屈ではないと。 勝つ理由は、試合が終われば語れる。だが、試合中は、誰にもわからぬ。 だから、面白い。 一つのパス、一つの守備、一つの決断。 その積み重ねが、勝敗を分ける。 人間は、スターに目を向ける。だが、勝利は、十一人全員でつくる ...