吾輩は猫である。名前はまだない。 八月十五日。 人間は、少し静かになる。 八十年を越える昔、長く続いた戦争が終わった日である。 人間はこれを、終戦記念日と呼ぶ。 終戦。 なんとも穏やかな言葉である。 だが、そこへ至るまでに、あまりにも多くの命が失われた。 戦場で倒れた者。 空襲で家を失った者。 異国から帰れなかった者。 そして、帰ってきた後も、戦争を背負い続けた者。 人間は誓った。 もう二度と、こんなことは繰り返さないと。 吾輩は思う。 それから八十年以上も経ったのだから、さぞ人間は賢くなったのだろうと。 ...