吾輩は猫である。名前はまだない。 朝になっても、人間が出かけない。 目覚ましは鳴らず、鞄も持たず、いつまでも家の中を歩いている。 人間はこれを、夏季休暇と呼ぶ。 働くことを休み、心と体を整えるための時間らしい。 だが、休みだからといって、人間はじっとしていない。 旅行へ行く。買い物へ行く。予定を詰める。渋滞にも並ぶ。 休むために、ずいぶん忙しそうである。 吾輩は思う。 休暇とは、普段できないことをすべて行う日ではない。 何もしなくてもよいと、自分に許す時間ではないかと。 昼まで眠る。 冷たい飲み物を口にす ...