吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ―信虎、葵、獅子丸、沙羅 編―

2025年8月29日

吾輩は猫である ―信虎、葵、獅子丸、沙羅 編―

吾輩は猫である。
名は信虎。家の長であり、群れのまとめ役だ。
ある日、縁側で昼寝をしていると、
庭からドタドタと足音が近づいてきた。

先に顔を出したのは葵。
淡い毛色とおっとりした性格の雌猫で、
花の香りをまとってやって来る。
「信虎兄さま、今日は探検に行きませんか?」
その後ろから、茶色の縞模様の獅子丸が飛び出す。
好奇心の塊で、じっとしていられぬ若猫だ。

「探検といえば、あの廃屋か?」と吾輩。
すると、最後に姿を現したのは沙羅。
長毛の美しい雌猫で、群れの中では一番の冷静派だ。
「廃屋なら気をつけたほうがいいわ。
この前、カラスが巣を作っていたから」

結局、吾輩はみんなを連れて廃屋へ向かった。
獅子丸は先陣を切り、葵は花の種を見つけては立ち止まる。
沙羅はしんがりを務め、周囲に目を光らせる。
まるで小さな隊列だ。

廃屋の軒下に着くと、
陽の光に舞う埃が金色に輝いていた。
獅子丸が屋根裏を覗こうとした瞬間、
カラスが羽音を立てて飛び出す。
葵が驚いて鳴き、沙羅が素早く前に出る。
吾輩はしっぽを高く掲げ、退却の合図を送った。

帰り道、全員が無事なのを確認して、
縁側で並んで毛づくろいをする。
探検は失敗だったかもしれないが、
群れで動くことの頼もしさを改めて感じた。

吾輩は信虎である。
葵の優しさ、獅子丸の勇気、沙羅の冷静さ――
それらがあってこそ、この群れは成り立っているのだ。


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gonta

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