吾輩は猫である。
名前はまだない。
歩いている時は、
前しか見えぬ。
振り返って初めて、
歩いてきた道が見える。
人間はこれを、
振り返りと呼ぶ。
うまくいった日もある。
失敗した日もある。
遠回りしたことも、
立ち止まったこともある。
その時は、
無駄だと思っていた。
だが、
時間が経つと、
一本の道になっている。
吾輩は思う。
人生とは、
点ではなく、
線なのだと。
一つの失敗だけを見れば、
悔しさしか残らぬ。
一つの成功だけを見れば、
慢心が残る。
だが、
全体を見れば、
どちらも必要だったと気づく。
人間は、
未来ばかり見て焦る。
あるいは、
過去ばかり見て悔やむ。
大切なのは、
今いる場所から、
静かに後ろを眺めること。
そこには、
昨日までの自分がいる。
そして、
明日へ進む力も、
きっと見つかる。
吾輩は猫である。
後ろばかりは見ぬ。
だが、
時々振り返る。
振り返りとは、
後悔するためではなく、
歩いてきた自分を認める時間なのだ。
振り向けば
歩いた道が
力なり