【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―温泉巡り 編―

2026年7月9日

吾輩は猫である ―温泉巡り 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

湯は、
一つではない。

山の湯。
海の湯。
熱い湯。
ぬるい湯。

人間はこれを、
温泉巡りと呼ぶ。

泉質が違えば、
肌触りも違う。
景色が違えば、
心の動きも変わる。

同じ温泉でも、
同じではない。

吾輩は思う。
旅とは、
目的地を増やすことではないと。

感じ方を増やすことだ。

湯に浸かり、
風を受け、
静かに空を見上げる。

何もしない時間が、
少しずつ心を整える。

人間は、
名湯を巡る。
だが、
本当に残るのは、
誰と行ったか、
どんな景色を見たか、
その日の空気である。

湯は、
疲れを流す。
だが、
思い出は流れぬ。

一つ、
また一つ。

訪ねるたびに、
心の地図が広がっていく。

吾輩は猫である。
湯には浸からぬ。
だが、
人が穏やかな顔で戻ってくる理由は知っている。
温泉巡りとは、
名湯を集めることではなく、
自分が安らげる場所を見つける旅なのだ。


湯を巡り
心の地図も
広がりぬ


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gonta

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