吾輩は猫である。
名前はまだない。
夏の陽射しは、
容赦がない。
朝だから大丈夫。
少しだけだから平気。
そう思っているうちに、
人間の肌は赤くなる。
人間はこれを、
日焼けと呼ぶ。
吾輩は思う。
太陽とは、
暖かいだけではないと。
光をくれる。
体を温める。
だが、
浴びすぎれば、
負担にもなる。
人間は、
日焼け止めを塗る。
帽子をかぶる。
日傘を差す。
長袖を着る。
なるほど。
ずいぶん装備が多い。
猫なら、
もっと簡単である。
暑ければ、
日陰へ行く。
眩しければ、
カーテンの向こうへ移る。
無理に陽射しと戦わない。
それだけだ。
吾輩は思う。
防ぐということは、
我慢することではない。
避ける。
減らす。
時間をずらす。
そうやって、
負担そのものを小さくすることだ。
人間は、
「せっかくの夏だから」と言って、
炎天下へ出ていく。
そして帰ってきて、
「焼けた」と嘆く。
最初から少し日陰を選べばよいのに。
だが、
それが人間なのだろう。
大切なのは、
夏を楽しむことと、
肌を傷めることを
同じにしないことだ。
吾輩は猫である。
日焼け止めは塗らぬ。
だが、
日向と日陰を使い分ける知恵はある。
日焼け防止とは、
夏を避けることではない。
夏と長く付き合うために、
陽射しとの距離を上手に取ることなのだ。
夏の日は
日陰を選ぶ
猫の知恵