【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―AIに仕事を奪われる 編(哲学)―

2026年4月18日

吾輩は猫である ―AIに仕事を奪われる 編(哲学)―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

机の前に、
座る者が変わった。
人の代わりに、
静かに動く仕組み。
疲れも見せず、
迷いも少ない。

人間はこれを、
AIと呼ぶ。

仕事が、
速くなる。
正確になる。
そして、
人の手を離れていく。

人は言う。
「奪われる」と。

吾輩は思う。
奪われるとは、
何を指すのかと。

同じことを、
より速く、
より正確にできるなら、
それは、
役割が変わっただけではないか。

猫は、
狩りをする。
だが、
常に動いているわけではない。
動かぬ時間もまた、
生きるための一部だ。

人間は、
働くことに
意味を見出してきた。
だが、
働かぬ時間にも、
意味はある。

AIが担うのは、
再現できること。
人が担うのは、
まだ言葉にならぬこと。

問いを立てること。
意味を選ぶこと。
責任を引き受けること。

それらは、
簡単には移らぬ。

仕事とは、
作業だけではない。
関係であり、
判断であり、
立場である。

形は変わる。
だが、
消えるわけではない。

吾輩は猫である。
仕事は持たぬ。
だが、
役割の変化は知っている。
奪われるのではなく、
問われているのだ。
何を人として残すのかを。


奪われず
残すべきもの
問われけり


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gonta

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