吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― マウス事件 編―

2025年10月15日

吾輩は猫である ― マウス事件 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

先日の「キーボード事件」以来、
飼い主は妙に警戒している。
机の上に近づこうとするだけで、
「ダメ、そこは仕事道具なの!」と声を上げるのだ。

だが吾輩の目は、ひとつの獲物に釘付けであった。
それは手の中で小さく動く、“マウス”と呼ばれる謎の生き物。
まるで本物の鼠のようにカチカチと音を立て、
たまに赤い光を放つ。
これはどう見ても、猫として放っておけぬ存在である。

飼い主がトイレに立ったすきに、
吾輩は机に飛び乗り、マウスを押さえた。
カチ、カチ、スクロール――おお、これは楽しい。
だが次の瞬間、画面が真っ暗になった。

飼い主が戻り、絶叫した。
「ぎゃあ!データが全部消えた!?」
吾輩はしっぽを立てて堂々と座り、
「鼠を退治したのだ」と胸を張った。

しばし沈黙ののち、
飼い主は笑いながら吾輩を抱き上げた。
「もう、本物のハンターだね」

吾輩は猫である。名はまだない。
だが、この家の平和は吾輩が守る。
それが――マウスを制した者の使命である。

鼠狩り 現代の戦 机上なり


スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

gonta

-吾輩は猫である(現代編)