吾輩は猫である。
名前はまだない。
速さの中に、
静けさがある。
外の景色は流れ、
内の時間は、
ゆっくり進む。
隣に座る。
ただそれだけで、
距離は縮まる。
言葉は、
多くなくてよい。
同じ方向を見て、
同じ揺れを感じる。
それで、
十分である。
吾輩は思う。
関係とは、
近づくことではなく、
並ぶことだと。
向かい合えば、
違いが見える。
並べば、
景色が揃う。
速さはある。
だが、
焦りはない。
時間は、
二人の間で整う。
時に、
言葉が途切れる。
だが、
気まずさはない。
沈黙もまた、
共有されている。
やがて、
目的地に着く。
立ち上がり、
それぞれの歩みへ戻る。
だが、
並んだ時間は、
確かに残る。
吾輩は猫である。
隣に座ることは少ない。
だが、
並ぶ意味は知っている。
関係とは、
同じ速さで
同じ方向を見られることなのだ。
並び見て
同じ景色に
心寄る