吾輩は猫である。
名前はまだない。
同じ場所に、
対照的な二つの気配がある。
一方は、
よく動く。
声も大きく、
場を軽くする。
人間はそれを、
お調子者と呼ぶ。
もう一方は、
動きは少なく、
手は確かだ。
言葉よりも、
結果を積む。
人間はそれを、
実務者と呼ぶ。
どちらも、
必要である。
場が重くなれば、
空気を動かす者がいる。
進まぬ仕事には、
形にする者がいる。
吾輩は思う。
偏りとは、
一つだけで成り立とうとすることだと。
軽さだけでは、
積み上がらぬ。
重さだけでは、
続かぬ。
お調子者は、
流れを作る。
実務者は、
流れを定着させる。
役割は違う。
だが、
どちらかが欠ければ、
歪む。
人間は、
優劣をつけたがる。
だが、
本来は並ぶものだ。
吾輩は猫である。
どちらにもならぬ。
だが、
両方の価値は知っている。
組織とは、
異なる力が
噛み合うことで動くのだ。
軽と重
重なり合えば
進みけり