【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―成長 編―

2026年5月10日

吾輩は猫である ―成長 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

気づけば、
届かなかった場所に
手が届く。
越えられなかった段差を、
越えている。

人間はそれを、
成長と呼ぶ。

だが、
その変化は、
一日では起きぬ。

毎日の、
わずかな積み重ね。
気づかぬほどの差が、
やがて形になる。

吾輩は思う。
成長とは、
足し算ではないと。

削ることでもある。

無駄な動きを減らし、
余計な力を抜き、
必要なものだけを残す。

速くなるのではない。
正確になる。

子猫は、
よく動く。
だが、
大人の猫は、
無駄に動かぬ。

それで、
結果は同じか、
むしろ良い。

人間は、
増やしたがる。
知識も、
経験も、
役割も。

だが、
増やすだけでは、
重くなる。

整えて、
残して、
活かす。

それが、
成長である。

吾輩は猫である。
変わらぬようで、
確かに変わっている。
成長とは、
静かに精度を上げる
営みなのだ。


足すよりも
削り残して
深くなる


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gonta

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