吾輩は猫である。
名前はまだない。
窓の内と外で、
世界は二つに分かれる。
どちらにも、
猫はいる。
人間はそれを、
家猫と地域猫と呼ぶ。
家の中は、
守られている。
餌はあり、
雨は避けられ、
危険は少ない。
だが、
行ける場所は限られる。
外の世界は、
広い。
風も、
匂いも、
自由に変わる。
だが、
すべてを自分で選び、
すべてを自分で背負う。
吾輩は思う。
自由とは、
良いことばかりではないと。
制約は、
不自由である。
だが同時に、
守りでもある。
外に出れば、
選択は増える。
だが、
責任も増える。
内にいれば、
選択は減る。
だが、
安心が増える。
どちらが良いかは、
一つではない。
大切なのは、
自分の場所を知ることだ。
窓辺に座る猫は、
外を見ている。
外の猫は、
時に内を覗く。
互いに、
互いの世界を想う。
吾輩は猫である。
どちらにもなれる。
だが、
どちらにもなりきれぬ。
制約と自由とは、
対立ではなく、
表裏の関係なのだ。
自由とは
守りの影に
在りにけり