吾輩は猫である。
名前はまだない。
動かぬ時間が、
長い。
だが、
決まる瞬間は、
一瞬である。
人間はこれを、
勘と呼ぶ。
読み切ったわけではない。
すべてを計算したわけでもない。
それでも、
手が動く。
吾輩は思う。
勘とは、
偶然ではないと。
積み重ねた経験、
見てきた形、
感じてきた違和感。
それらが、
一つに収束する。
考え続けた末に、
考えを越える。
猫は、
飛ぶ前に止まる。
距離を測り、
空気を読み、
そして、
ためらわぬ。
迷いながらでは、
届かぬ。
人間は、
確実さを求める。
だが、
確実になるまで待てば、
機は過ぎる。
不完全な中で、
選ぶ。
それが、
勝負である。
当たることもある。
外れることもある。
だが、
磨かれた勘は、
次第に精度を上げる。
吾輩は猫である。
理屈は語らぬ。
だが、
飛ぶ瞬間は知っている。
勝負の勘とは、
積み重ねが
一瞬に現れる力なのだ。
迷い越え
一手に宿る
勘の光