【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―シルバーウィーク 編―

2026年10月25日

吾輩は猫である ―シルバーウィーク 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

秋になると、
人間はまた休み始める。

昨日も休み。

今日も休み。

明日も休みらしい。

人間はこれを、
シルバーウィークと呼ぶ。

吾輩は思う。

春には、
ゴールデンウィーク。

秋には、
シルバーウィーク。

休みにまで、
金や銀をつける必要があるのだろうか。

猫なら、
毎日の昼寝に順位はつけぬ。

だが、
人間にとって連休とは、
なかなか大切らしい。

旅行へ行く。

温泉へ行く。

実家へ帰る。

高速道路に並ぶ。

新幹線に乗る。

そして、
帰ってきて言う。

「疲れた。」

吾輩は思う。

休んだのではなかったのか。

どうやら人間は、
休日になると、
普段より忙しくなる習性がある。

せっかくの五連休。

何かしなければ。

どこかへ行かなければ。

思い出を作らなければ。

そう考えて、
予定を詰める。

吾輩なら、
何もしない。

朝寝る。

昼も寝る。

夕方少し起きる。

飯を食べる。

そして、
また寝る。

これだけで、
立派な連休である。

吾輩は思う。

休みとは、
予定があることではない。

予定がなくても、
困らない時間なのだ。

しかも、
秋はよい。

夏ほど暑くない。

冬ほど寒くない。

窓辺に座れば、
風が少し涼しい。

昼寝には、
かなり適している。

人間も、
たまには遠くへ行かず、
近所を歩けばよい。

いつもの道。

いつもの店。

いつもの家。

忙しい時には見えなかったものが、
案外そこにある。

連休とは、
遠くへ行くためだけのものではない。

日常を、
少しゆっくり見るための時間でもある。

吾輩は猫である。
シルバーウィークだからといって、
生活は変わらぬ。

だが、
人間が家にいる時間が増えるのは、
少し悪くない。

撫でる手が増える。

飯の時間が少し早くなる。

そして、
一緒に昼寝する者まで現れる。

なるほど。

シルバーウィークとは、
人間が遊びに行くための連休ではない。

普段急ぎすぎている者が、
少しだけ猫の時間に近づく五日間なのだ。


五連休
猫に近づく
人の時

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gonta

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