【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―シニア老猫ホーム 編―

2026年6月30日

吾輩は猫である ―シニア老猫ホーム 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

若い頃のようには、
跳ばなくなる。
走る距離も短くなり、
眠る時間が増える。

人間はこれを、
老いと呼ぶ。

体は、
少しずつ変わる。
段差をためらい、
音にも敏くなる。

だが、
心まで弱くなるわけではない。

吾輩は思う。
老猫とは、
「できなくなった猫」ではないと。

長く生き、
多くを見て、
静かな時間を覚えた猫だ。

若い猫は、
勢いで進む。
だが、
老猫は、
無駄を知っている。

急がず、
競わず、
暖かい場所を選ぶ。

それは、
衰えではなく、
経験の形でもある。

人間は、
若さを眩しく見る。
だが、
長く共に過ごした時間には、
別の重みがある。

撫でる手は、
少し優しくなる。
呼ぶ声も、
少し静かになる。

その変化を、
猫はちゃんと感じている。

吾輩は猫である。
いつか老いる。
だが、
最後まで大事にしてほしいと思っている。
シニア老猫ホームとは、
弱くなった命を預ける場所ではなく、
長く生きた命を
静かに包む場所なのだ。


老いてなお
ぬくもり求め
眠りけり


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gonta

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