吾輩は猫である。
名前はまだない。
四年に一度。
世界中が、
一つの球を追いかける。
人間はこれを、
サッカーWカップと呼ぶ。
普段は、
敵同士の者もいる。
だが、
この時だけは、
同じ色をまとい、
同じ声を上げる。
一点で歓喜し、
一点で沈黙する。
九十分が、
妙に短い。
吾輩は思う。
熱狂とは、
理屈ではないと。
勝つ理由は、
試合が終われば語れる。
だが、
試合中は、
誰にもわからぬ。
だから、
面白い。
一つのパス、
一つの守備、
一つの決断。
その積み重ねが、
勝敗を分ける。
人間は、
スターに目を向ける。
だが、
勝利は、
十一人全員でつくる。
走る者。
守る者。
支える者。
誰か一人では、
世界一にはなれぬ。
吾輩は猫である。
球は追わぬ。
だが、
皆が一つになる空気は知っている。
サッカーWカップとは、
勝敗だけではなく、
世界が同じ瞬間に心を動かす祭典なのだ。
笛鳴れば
世界がひとつ
球を追う