吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― スムージー篇 ―

2025年6月7日

吾輩は猫である ― スムージー篇 ―

吾輩は猫である。名はまだない。
今朝もキッチンから「ヴイィィン」という音が聞こえた。飼い主がスムージーなるものを作っているらしい。

バナナにベリー、豆乳にヨーグルト。ときどき葉っぱのようなものも入っているが、それでも意外とうまいらしい。
「今日のは当たりや!」と満足げな顔でグラスを傾けていた。

たしかに、吾輩も一口だけペロリとしたことがある。
思っていたより甘く、冷たく、口あたりもなめらかだった。なるほど、これは癖になるかもしれぬ。
だが、毎朝ブレンダーの轟音で目覚める身としては、複雑な気持ちである。

猫は、食べたいときに食べ、飲みたいときに水を舐める。それ以上でも以下でもない。
人間のように「腸内環境」とか「スーパーフード」とか、小難しいことは考えぬ。
ただ、美味いものを、美味いと感じた時に味わえば、それでよい。

SNSでは今日も「#朝活スムージー」が並ぶ。美しい色、整った食卓。
けれど、吾輩は思うのだ。
本当に美味いものは、投稿し忘れるくらいに夢中になって食べるものではなかろうか?

グラス越し 映える笑顔に 舌を巻く

飼い主が最後にグラスを差し出してきた。
「飲む?」と聞かれたが、吾輩はしっぽを振って、カリカリ皿に戻る。
やはり、にぼしはにぼしである。


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gonta

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