吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 総裁選前倒し 編―

2025年10月3日

吾輩は猫である ― 総裁選前倒し 編―

吾輩は猫である。名はまだない。

このところ人間の世界では、
「総裁選を前倒しする」という話で持ちきりらしい。
新聞が騒ぎ、テレビが連呼し、
飼い主までもスマホを覗きながら「誰が立つか」と呟いている。

猫の世界でも似たことはある。
路地裏のボスの座をめぐり、
次の季節を待たずに争いが始まるのだ。
魚屋の裏を縄張りにするか、
それとも市場の残飯を抑えるか。
利害がからめば、先に仕掛けた方が有利――
それは人間も猫も変わらぬ理である。

ただ、猫の選挙は単純だ。
強さと度胸、
そして誰よりも大きな声で「にゃあ」と鳴けるかどうか。
政策だの派閥だのはない。
その分だけ潔く、
結果が出れば翌日には並んで日向ぼっこをする。

人間の総裁選はどうだろう。
前倒しの裏には思惑が渦巻き、
猫には到底わからぬ計算があるようだ。
だが吾輩の目には、
しっぽを高く掲げて互いに威嚇し合う猫たちと、
どこか重なって見えてならない。

吾輩は猫である。名はまだない。
ただ、ひとつだけ願うのは――
この騒ぎのあと、人間の暮らしに
少しでも穏やかな日向が戻ることである。

政争も 日向の場所を 探すのみ


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gonta

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