【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―桜 編―

2026年4月14日

吾輩は猫である ―桜 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

気がつけば、
世界が淡く染まっている。
風に乗り、
白とも桃ともつかぬ色が、
空を満たす。

人間はこれを、
桜と呼ぶ。

咲くまでが長く、
咲いてからは短い。
その落差に、
人は心を動かされる。

満開は、
完成ではない。
終わりの始まりでもある。

花は、
咲いた瞬間から、
散る準備をしている。
それでも、
躊躇はない。

吾輩は、
木の下に座る。
花びらが一枚、
背に落ちる。
気にせぬ。

美しさとは、
留めるものではない。
流れるものだ。

人間は、
写真に収め、
記憶に残そうとする。
だが、
桜は知っている。

残らぬからこそ、
意味があると。

やがて、
風が少し強くなる。
花は舞い、
地に落ちる。
そして、
静かに季節が進む。

吾輩は猫である。
花を追わぬ。
だが、
散る様は見届ける。
桜とは、
終わりを受け入れてなお、
美しく在るということなのだ。


散るほどに
美しさ増す
春の色


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gonta

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