吾輩は猫である。
名前はまだない。
空と水が、
つながって見える。
人間はこれを、
天空のプールと呼ぶ。
水面は静かだ。
風が吹けば揺れ、
風が止めば、
また鏡のようになる。
まるで、
心のようである。
吾輩は思う。
人間は、
高い場所へ行くと、
景色を眺める。
昨日まで大きく見えた悩みも、
少し遠くに見えるからだろう。
見える景色が変われば、
考え方も変わる。
だから旅は、
人を成長させるのかもしれぬ。
猫は、
高い所が好きだ。
棚の上。
塀の上。
窓辺。
そこから静かに、
世界を眺める。
急いでも、
景色は逃げない。
ゆっくり眺めれば、
今まで気づかなかったものが見えてくる。
吾輩は猫である。
泳ぐことは得意ではない。
だが、
空と水が溶け合う景色には、
しばらく見とれてしまう。
天空のプールとは、
体を休める場所というより、
心に余白を取り戻す場所なのだ。
空映し
心も澄めば
雲流る