吾輩は猫である。
名前はまだない。
ある日、
いつもの風が止まった。
見知らぬ人間が来て、
エアコンを分解し始める。
人間はこれを、
エアコンクリーニングと呼ぶ。
高い所で、
ガチャガチャ。
水が流れ、
黒い汚れが落ちていく。
吾輩は少し離れて、
様子を見る。
猫は、
知らない音に敏感である。
知らない人にも、
少し警戒する。
だが、
終わってみると、
風が変わる。
冷たいだけではない。
どこか、
澄んでいる。
吾輩は思う。
汚れとは、
毎日少しずつ積もるものだと。
昨日は気にならなかった。
今日も気づかなかった。
それでも、
一年経てば、
ずいぶん違う。
心も、
同じかもしれぬ。
忙しさ。
疲れ。
小さな不満。
放っておけば、
少しずつ積もっていく。
だから、
時々掃除をする。
部屋だけではない。
心も、
人間関係も。
風通しを、
よくするために。
吾輩は猫である。
掃除機は苦手だ。
だが、
きれいな風の心地よさは知っている。
エアコンクリーニングとは、
機械を洗うことではなく、
毎日を気持ちよく過ごすための、
風の大掃除なのだ。
風清み
心の埃も
舞い去りぬ