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【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/17

吾輩は猫である ―猫サッカー(千葉VS川崎)編―

吾輩は猫である。本日、球を巡る争いがあるという。 人はそれを試合と呼ぶ。千葉と川崎、名を掲げて競い合う。 だが吾輩から見れば、それは少し様子が違う。 猫にとって球とは、蹴るものではない。追うものである。 転がるものには意味がある。理由はなくとも、ただ反応する。それが本能というものだ。 ゆえに、猫の試合は単純である。速く動くものに、速く応じる。ただそれだけで、勝負は成立する。 だが人の試合は違う。そこには意図があり、設計があり、役割が与えられている。 誰が攻め、誰が守り、どこで仕掛け、どこで耐えるか。 それ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/17

吾輩は猫である ―轟編―

吾輩は猫である。遠くで、何かが鳴った。 轟く音は、唐突である。前触れもなく、空気を裂く。 人はそれを恐れる。避けるべきものとして、身を縮める。 だが吾輩は、少しだけ違う。 轟きとは、ただの音ではない。積もりに積もったものが、一気に解き放たれる瞬間である。 静けさの裏には、常に蓄積がある。言葉にされなかった不満、見過ごされた違和感、そして、先送りにされた決断。 それらが限界に達したとき、轟きとなって現れる。 ゆえに、それは偶然ではない。必然である。 人は驚き、なぜ今なのかと問う。だが、その問いは遅い。 本来 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/17

吾輩は猫である ―出社とリモートワーク編——ハイブリッドとは何か―

吾輩は猫である。人間は、働き方についてよく迷う。 出社か、リモートか。どちらが正しいのかと、答えを探している。 だが、その問い自体が、少しばかり窮屈である。 出社には出社の良さがある。同じ空間にいることで、言葉にならぬ気配が伝わる。偶然の会話が、思わぬ発見を生むこともある。 一方で、リモートには別の価値がある。集中は深まり、移動は消え、自分の時間を取り戻すことができる。 どちらが優れているか。それを決めようとするから、話はこじれる。 吾輩から見れば、どちらもただの「手段」に過ぎぬ。 では、ハイブリッドとは ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/17

吾輩は猫である ―出会いと別れ編―

吾輩は猫である。出会いには、たいてい理由がない。 ある日、そこにいた。目が合った。それだけのことで、関係は始まる。 人はそれを「縁」と呼ぶ。だが吾輩にとっては、もっと静かなものである。ただ、同じ時間を少し共有したに過ぎない。 それでも、人は意味を見出す。出会うべくして出会ったのだと。そう考えることで、日々は少しだけ整うのだろう。 ならば、それでよい。 出会いがあれば、別れもある。これもまた、理由ははっきりしない。 いつの間にか距離ができることもあれば、ある日突然、いなくなることもある。 人はそれを惜しむ。 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/29

吾輩は猫である ―恋人と並ぶ 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 速さの中に、静けさがある。外の景色は流れ、内の時間は、ゆっくり進む。 隣に座る。ただそれだけで、距離は縮まる。 言葉は、多くなくてよい。同じ方向を見て、同じ揺れを感じる。 それで、十分である。 吾輩は思う。関係とは、近づくことではなく、並ぶことだと。 向かい合えば、違いが見える。並べば、景色が揃う。 速さはある。だが、焦りはない。時間は、二人の間で整う。 時に、言葉が途切れる。だが、気まずさはない。 沈黙もまた、共有されている。 やがて、目的地に着く。立ち上がり、それぞれ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/25

吾輩は猫である ―一周年——世に問う編―

吾輩は猫である。一年、書き続けてきた。 振り返れば、実に様々なことを書いた。働くこと、組織のこと、責任のこと、そして人が人であるがゆえの曖昧さについて。 それらは、正解ではない。むしろ、正解を提示するつもりなど初めからない。 ただ一つ、確かなのは、吾輩は「問い」を投げてきたということである。 なぜそれをするのか。世の中があまりにも“答えらしきもの”で満ちているからだ。 効率、正しさ、最適解。それらは一見、合理的に見える。だが、その裏で何かがこぼれ落ちている。 誰のための正しさか。何を切り捨てて成立している ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/29

吾輩は猫である ―GW帰省 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 箱に入れられ、揺れに乗る。音も匂いも、いつもと違う。 人間はこれを、帰省と呼ぶ。 遠くへ行き、元の場所へ戻る。それだけのことだが、心の動きは少し複雑だ。 着いた先は、見慣れぬようで、どこか懐かしい。人の声も、空気の流れも、微妙に違う。 吾輩は、まず隠れる。安全な場所を見つけ、様子を見る。 急がぬ。慣れは、時間でしか来ぬ。 人間は、すぐに打ち解ける。笑い、語り、過去を重ねる。 だが、猫は知っている。過去と今は、同じではないと。 少しずつ、距離を縮める。一歩ずつ、空間を広げる ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/29

吾輩は猫である ―一手の重み 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 盤の上は、静かである。だが、その静けさの中に、多くが詰まっている。 人間はこれを、一手と呼ぶ。 ただ置くだけ。だが、戻せぬ。 その前に、いくつもの道があった。どれも正しそうで、どれも危うい。 選んだ瞬間、他は消える。 吾輩は思う。一手とは、決断の形だと。 考え、迷い、読み、そして、最後に置く。 そこには、これまでのすべてが現れる。 技術も、経験も、性格も。 隠せぬ。 軽く置けば、軽い結果になる。重く置けば、その分だけ影響も大きい。 だが、重さを恐れていては、進めぬ。 人間 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/29

吾輩は猫である ―勝負の勘 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 動かぬ時間が、長い。だが、決まる瞬間は、一瞬である。 人間はこれを、勘と呼ぶ。 読み切ったわけではない。すべてを計算したわけでもない。それでも、手が動く。 吾輩は思う。勘とは、偶然ではないと。 積み重ねた経験、見てきた形、感じてきた違和感。それらが、一つに収束する。 考え続けた末に、考えを越える。 猫は、飛ぶ前に止まる。距離を測り、空気を読み、そして、ためらわぬ。 迷いながらでは、届かぬ。 人間は、確実さを求める。だが、確実になるまで待てば、機は過ぎる。 不完全な中で、選 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/4/29

吾輩は猫である ―棋士という生き方 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 静かな盤の上で、すべてが決まる。音はほとんどない。だが、内側は激しい。 人間はこれを、棋士と呼ぶ。 一手に、時間をかける。読み、迷い、選び、置く。 それだけで、世界が変わる。 吾輩は思う。棋士とは、孤独な職であると。 誰にも代われぬ。誰も助けぬ。最後は、自分で決める。 盤の外では、多くを語らぬ。だが、盤の上では、すべてが現れる。 性格も、癖も、弱さも。 隠せぬ。 勝てば、称えられる。負ければ、静かに引く。 だが、どちらでも、次の一局は来る。 続けること。それ自体が、生き方 ...