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【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/10

吾輩は猫である ―猫耳 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 人間界では最近、“猫耳”なるものが人気らしい。ヘアバンドだったり、コスチュームだったり、あるいはアニメの中で自由に動いたりする。 だが、吾輩から言わせれば――猫耳とは、ただの飾りではない。心の窓であり、気分のアンテナである。 興味があるときはピンと立ち、安心しているときはゆるりと倒れ、嫌な音がするときは左右に振れて知らせる。猫耳とは、言語より雄弁な“意思表示の装置”なのだ。 先日、飼い主がキラキラの猫耳カチューシャをつけて、「見て! 可愛いでしょ?」と言ってきた。吾輩はじっ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/10

吾輩は猫である ―猫の忘年会 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 十二月のある夜、飼い主がこたつで鍋を囲んでいる頃、吾輩はそっと窓から抜け出した。今日は特別な日――猫たちの、年に一度の 秘密忘年会 が開かれるのだ。 町内の猫たちが、神社の裏のあずまやに次々と集まってくる。茶トラ先輩は早くも酔ったような足取りで、「今年もいろいろあったニャ〜」としみじみしている。 黒猫のクロは、「今年の反省は“キッチン侵入の失敗回数”だニャ」と言い、キジトラのミケは、「わたしは健康診断を頑張ったニャ」と胸を張る。 それぞれの一年が、猫草をつまむ音や、カリカリ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/10

吾輩は猫である ―猫にやさしい暖房 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 冬が深まり、部屋の空気がひんやりしてきた。吾輩は飼い主の足元にまとわりつき、「そろそろ暖房を……」と無言の圧をかける。 飼い主は苦笑しつつスイッチを入れた。まず稼働したのはエアコン。あたたかい風が天井からそっと降りてきて、吾輩の背中を柔らかく包んだ。「これなら乾燥もしすぎないように加湿するからね」と、飼い主。ふむ、気が利いておる。 次に使われたのは、床暖房だ。これがまた極上のぬくもりで、床に身体が吸い付くように沈んでいく。まるで地面そのものが抱きしめてくれるようだ。吾輩が伸 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/8

吾輩は猫である ―長寿猫の秘密 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 近ごろ、飼い主がしみじみと吾輩をなでながら言った。「君も、いつの間にか立派なシニア猫だねえ…… なんでそんなに元気なの?」 ふむ。人間は気づいていないようだが、“長寿の秘密”にはいくつかコツがあるのだ。 まずひとつめ。よく眠る。寝ることこそ、猫の魔法である。歳を重ねれば重ねるほど、眠りは体と心を整える。飼い主が働いている間、吾輩が熟睡に勤しんでいるのは、決して怠惰ではない。 ふたつめ。好きなものを、好きと言えること。膝に乗りたいときは乗り、撫でられたくないときはスッと離れる ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/8

吾輩は猫である ―ペット保険 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 最近、飼い主が書類とスマホを行ったり来たりしながら、「どうしようかな……」と何度もつぶやいている。どうやら“ペット保険”という人間の制度を調べているらしい。 吾輩としては、食べて寝て遊んで、たまにひっかいて、いつもの日々を生きるだけであるが、飼い主はどうにも心配らしい。 先日、皮膚炎で病院へ行った吾輩を見て、気づいたのだろう。――命に値段はないけれど、  守るための備えは必要だ、と。 飼い主は獣医殿に相談し、「もしものとき、負担が軽くなるなら安心ですね」と言われたらしい。そ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/2

吾輩は猫である ―猫クエストIII 〜 魔王キャットタワー 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 ある朝、目覚めると部屋の片隅にそびえる巨大な影があった。――キャットタワーである。だが、ただのタワーではない。 漆黒に光る柱、見たことのない高層階、てっぺんには禍々しい玉座。 その上に鎮座する者あり。その名も 魔王キャットタワー・ダークネス卿。どう見ても、飼い主が通販で買ったタワーが“魔界化”したらしい。 その声が響き渡った。「勇者ネコよ……IIIが始まるぞ……!」 吾輩は背中の毛を逆立てつつ、そっと飼い主を見た。飼い主はのんきにコーヒーを飲んでいる。どうやら、この戦いは吾 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/2

吾輩は猫である ―猫クエスト I &II編―

(冒険のはじまり) 吾輩は猫である。名はまだない。 静かな昼下がり、吾輩の家の押し入れが光った。気になって覗き込むと、そこには不思議な古文書。表紙にはこう書かれていた。「ネコ勇者求ム」 気づけば吾輩は、剣とマントを装備し、見知らぬ草原に立っていた。――どうやら異世界である。 そこへ、白ひげのフクロウ賢者が現れた。「勇者よ、ネズミ王がご飯ストックを奪った。 取り返してくれぬか。」 ご飯ストック……それは使命である。吾輩は胸を張って答えた。「よかろう。行こうではないか。」 旅の途中、スライム型ほこり軍団に絡ま ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/12/2

吾輩は猫である ―猫ドライ vs ウェット 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 今日の食卓(つまり吾輩の皿)は、いつになく緊張していた。 右側には“カリッ”と音を立てるドライフード。左側には“ふわり”と香り立つウェットフード。飼い主が腕を組んで言う。「どっちが好きなのか、今日はっきりさせようか」 吾輩は胸を張った。――この勝負、受けて立つ。 まずはドライフード。サクッ、カリッ。その歯ざわりはまさに職人の技。咀嚼のリズムが整うと、心まで規則正しくなるようだ。「これぞ、シンプルにして基本の味」と吾輩は感心した。 続いてウェットフード。ひと口で、肉と魚の香り ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/11/30

吾輩は猫である ―猫アレルギー 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 ある日から、鼻がむずむず、目がしょぼしょぼ。くしゃみをすると、しっぽまで跳ねるほどの勢いだ。毛づくろいをするたび、なんだか肌がひりひりして落ち着かぬ。 飼い主が吾輩の様子に気づき、「もしかしてアレルギーじゃない?」と眉を寄せた。アレルギー――それは人間だけの悩みだと思っていた。まさか猫の世界にもあるとは、驚きである。 動物病院で検査を受けると、獣医殿はやさしい声で言った。「少しだけ食物アレルギーがあるみたいですね。 フードを変えて、環境も整えていきましょう。」 飼い主は真剣 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2025/11/30

吾輩は猫である ―猫の皮膚炎 編―

吾輩は猫である。名はまだない。 最近、どうにも体がむずむずする。しっぽの付け根あたりをかくと、毛がふわりと抜け、赤くなっているではないか。これは……ただ事ではない。 飼い主が気づき、眉をしかめた。「ちょっと、これは皮膚炎かも」その声に、吾輩は胸がぎゅっと縮んだ。病院――あの独特の消毒の匂いと機械の音が頭をよぎる。 しかし、連れていかれた獣医殿はやさしかった。丁寧に毛をかき分け、「大丈夫ですよ、軽い炎症です。 薬を塗ればすぐ良くなります」と言った。 飼い主は熱心に説明を聞き、吾輩の背をそっと撫でた。その手つ ...