吾輩は猫である。名はまだない。だがこの家で、一番風の流れに敏感な存在である。 いつもの場所で昼寝をしていると、突然、天井の機械が異音を立てた。「ぶおっ…」「ギギギ…」――これは異常だ。さっそく吾輩は監視体勢に入る。 数時間後、マスクと脚立を携えた男たちがやってきた。飼い主が言う。「エアコンクリーニング、頼んだのよ」 なるほど。風の出処に人間が群がっているのはそのためか。 脚立の上で、パネルを外し、奥の部品を洗う。黒い水が流れ落ちる様子を見て、吾輩は悟った。この涼しさの裏に、これだけの汚れが潜んでいたのか― ...