吾輩は猫である。名はまだない。 冬になると、テレビの前で飼い主の声が少し大きくなる。芝生の上を、若い人間たちが走っている。白い息、赤い頬、そして、やけにまっすぐな目。――高校サッカーである。 彼らはよく走る。意味があるのか、得なのか、そんなことを考える暇もなく、ただ、仲間の声に反応し、ボールを追う。 吾輩は思う。猫なら、あそこまで走らない。だが、走らねばならぬ時があることは知っている。逃げるためではなく、守るために走るときだ。 点が入る。歓声が上がる。ベンチが跳ねる。そして、点が入らなくても、泣く者がいる ...