吾輩は猫である。名はまだないが、今日は「リングキャット」なる大役を仰せつかった。 聞けば、これは人間の結婚式とやらで、指輪を新郎新婦の元へ届けるという重責らしい。なるほど、可愛い衣装を着せられ、首輪に小箱をくくりつけられた吾輩は、今、バージンロードの入口で控えている。 「かわいい〜!」「天使みたい!」と、参列者どもが騒いでおるが、吾輩にとっては騒がしい音楽と見知らぬ匂いに満ちた修羅場である。しかもこの衣装、動きづらい。しっぽがまともに振れぬではないか。 だが、飼い主が「おまえだけが頼りなんだ」と呟いたのを ...