吾輩は猫である。名はまだない。だがこの家で、縦の空間は吾輩の領分と決まっていた。棚の上、冷蔵庫の上、窓際のひなた。床を這う“ルンバ”には手が出せぬ場所――それが高みの誇りだった。 しかし今日、異変が起きた。 「届いた〜!窓用ロボットクリーナー!」飼い主の叫びとともに、吸盤のようにピタリと窓に張りつく円盤型。うぃ〜ん……と低く唸りながら、上下左右へ滑るように動く。 なんだこれは。床用ルンバの“従兄弟”か?それとも、重力を裏切った新種の敵か? 吾輩はキャットタワーの中腹から、窓を見つめた。ふだん、午前の日差し ...