吾輩は猫である。
名前はまだない。
感情とは、
時に隠せぬ。
特に、
尻尾には出る。
人間は、
顔を見る。
だが、
猫を見るなら、
尻尾を見よ。
静かに揺れる時は、
機嫌も穏やか。
先だけ動く時は、
少し考えている。
だが、
大きく、
速く、
ぶんぶん動き始めた時。
それは、
なかなか危うい。
人間はこれを、
「かわいい」と言う。
だが、
当猫としては、
結構真剣である。
吾輩は思う。
感情とは、
抑え込むほど、
別の場所に出ると。
言葉にしなくとも、
動きに現れる。
間に出る。
空気に出る。
猫は、
正直である。
隠しているつもりでも、
尻尾が全部語る。
人間も、
似たようなものだ。
声は穏やかでも、
目が笑っていないことがある。
「大丈夫」と言いながら、
全然大丈夫ではない時もある。
だから、
表面だけでは足りぬ。
吾輩は猫である。
尻尾は隠せぬ。
だが、
それでよいと思っている。
感情とは、
少しくらい漏れている方が、
生き物らしいのだ。
尻尾には
本音が先に
出ておりぬ