【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―インプラント編―

2026年5月26日

吾輩は猫である ―インプラント編―

吾輩は猫である。
人は、失ったものを取り戻そうとする。

歯もまた、その一つである。

欠けたままにしておくこともできる。
別のもので補うこともできる。
そして、元あった場所に「根」から作り直す方法もある。

それが、インプラントである。

顎の骨に、静かに基礎を打ち込む。
目には見えぬところに、土台を築く。
その上に、形を整え、機能を取り戻す。

外から見れば、ただの歯である。
だが、その内側には、時間と手間と判断が積み重なっている。

ここで問われるのは、「元に戻す」とは何か、ということである。

完全に同じものは戻らぬ。
だが、機能としては取り戻せる。
むしろ以前よりも、安定することすらある。

人はそこで、少し迷う。
自然のままがよいのか。
人工であっても機能を優先するのか。

どちらも正しい。
ゆえに、選択になる。

インプラントは万能ではない。
骨の状態、全身の健康、日々の手入れ。
それらすべてが揃って、初めて成立する。

手に入れて終わりではない。
維持してこそ、意味がある。

これは、歯に限った話ではない。

失った関係、失った信頼。
それらもまた、基礎から築き直すことはできる。

ただし、時間がかかる。
見えないところで支えるものが必要になる。

そして、手入れを怠れば、また失われる。

吾輩は猫である。
無理に戻すことはしない。

だが、戻すと決めたなら、
根から整える。

人よ。
形だけを取り繕うな。

支えるものを、見よ。


見えぬ根を
打ってはじめて
噛み合える


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gonta

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