吾輩は猫である。
名前はまだない。
人間は、
試験に合格すると喜ぶ。
証書を眺め、
資格名を名刺に書き、
少しだけ胸を張る。
そして、
しばらくすると言う。
「これ、更新って必要なの?」
吾輩は思う。
ずいぶん現実的な質問である。
資格には、
更新が必要なものもあれば、
一度取ればそのままのものもある。
だが、
知識まで永久保証される資格は、
たぶんない。
技術は変わる。
法律も変わる。
社会も変わる。
昨日の常識が、
明日には古くなることもある。
ならば、
資格証だけ残っていても、
中身が昔のままでは少し寂しい。
人間はこれを、
継続研鑽と呼ぶ。
新しいことを学ぶ。
昔覚えたことを、
もう一度確かめる。
失敗から学ぶ。
他人の話を聞く。
時には、
自分のやり方を疑ってみる。
どれも派手ではない。
試験のように、
合格の文字が出るわけでもない。
だが、
その積み重ねが、
資格に少しずつ重みを与えていく。
吾輩は思う。
更新すべきなのは、
資格ではなく、
自分自身なのではないかと。
猫も、
毎日同じように暮らしているようで、
少しずつ学んでいる。
この扉は開く。
この棚には登れる。
この時間になると、
飯が出る。
特に最後の学習については、
日々研鑽を怠らぬ。
人間も、
合格した日が完成ではない。
むしろ、
そこからが始まりなのだろう。
資格を取ったから学ぶのをやめるのか。
資格を取ったからこそ、
学び続けるのか。
その違いは、
十年後にはずいぶん大きくなる。
吾輩は猫である。
資格証は持たぬ。
更新料も払わぬ。
だが、
昨日より少し賢く生きることなら、
毎日続けている。
日々研鑽とは、
資格を維持するための義務ではない。
自分が、
資格の名前に置いていかれぬための、
静かな更新作業なのだ。
資格より
我を更新
日々研鑽