吾輩は猫である(現代編)

吾輩は猫である ― 猫が技術士だったら編 ―

2025年7月21日

吾輩は猫である ― 猫が技術士だったら編 ―

吾輩は猫である。名はまだない。
だが今日、夢の中で「技術士」の認定証を渡された。
どうやら“猫工学部門”とかいう新設区分で合格したらしい。

試験は難しかった。
「安全と倫理に配慮した毛づくろい手法」
「地域猫施策の課題と展望」
「ネズミ監視システムにおけるPDCAの適用」など、
やたらと難解な設問が並ぶ。

だが、吾輩は書いた。
・課題:お腹を見せたら撫でられすぎてしまうこと
・改善策:ころころ回ってうやむやにする
・期待効果:うまく逃げつつ満足感を与える

面接官は唸った。「それは…持続可能性が高いですね」

吾輩は首をかしげた。
それは単に、機嫌と自衛の両立である。
だが人間はすぐにそれを「フレームワーク」と呼びたがる。

合格後、名刺が届いた。
技術士(猫類・行動制御工学)
どう見ても名ばかりだ。
実務経験は“棚の上で3年寝ていたこと”しかない。

それでも、街の人間たちは言う。
「猫が技術士なら安心」「あのしっぽには信頼感がある」
なるほど、技術とは理屈だけではないらしい。

合格の 裏で光った 肉球よ

目に見えぬスキルも、
気まぐれな判断も、
時に人を救う力となる。

吾輩は今日も、窓際で黙って空を見る。
合格証より、風の動きを読む訓練をしている。


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gonta

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